ズートピアの伝えたいことは大人向け?偏見や差別の裏設定のメッセージ性が強い?

※この記事はネタバレを含みます

『ズートピア』はディズニースタジオが制作した、動物たちの社会を描くアニメーション映画です。

可愛らしい動物たちや、上戸彩さんが主人公ジュディの声優を務めることでも話題になりました。

しかし、ズートピアがメインとして取り扱うテーマは、作品の雰囲気に似合わずダークです。

 

今回はズートピアのテーマや裏設定について深掘りしたいと思います。


ズートピアの伝えたいこと

『ズートピア』が視聴者に伝えたいことは、アメリカに根強く残る人種差別問題です。

主人公のジュディがウサギというだけで馬鹿にされる、肉食動物というだけでニックが夢を諦める、といった幼少時代の差別が人生に大きな影響を与えた登場人物が登場します。

 

極めつけは、物語の黒幕であるベルウェザー。

彼女が悪に手を染めたのは、ライオンハート市長による差別的な行為であり、彼女は肉食動物という存在自体を恨んでいました。

 

肉食動物と草食動物の対立構造は、白人と黒人の差別をモデルに作られてします。

オバマ大統領が就任した際も、黒人であることをメディアが盛んに報道していました。

しかし、そもそも差別的な概念がなければ、人種がニュースで取り上げること自体がありません。

映画の予告でも流れるキャッチコピー「ここは動物たちの理想郷」は実は大きな皮肉が込められた一言だったのです。

ズートピアの裏設定

実は、ズートピアには数々の裏設定が存在します。

ここに書いていない他にも多数存在するため、調べて見てはいかがでしょうか?

ジュディやニックの本当の性格

作中でジュディとニックは対象的な性格として書かれています。

ジュディはウサギという差別に負けず見事警察官になり、外見だけが全てじゃないことを証明しようとしている。

一方、ニックは差別によって夢を諦めてしまい、外見で差別的な嫌味を繰り返す性格になってしまっている。

これが、視聴者が持つ2人の性格のイメージであると考えられます。

 

しかし、ジュディは実のところ仕事内容や成績といったステータスを重視する性格です。

警察学校を成績優秀で卒業したことを理由にたびたび署長に反抗しますし、交通整理といった仕事を任されていることに憤慨しています。

しかし、現実世界でどれだけ優秀な成績で就職しても、最初は電話対応などの事務仕事をやらされるのが普通ですよね?

彼女がウサギというだけで差別されているように見られますが、新人としては当たり前の業務で、逆に彼女が態度の悪い新人だと考えることもできます。

彼女がここまでステータスにこだわるのは、やはり自分のウサギという種族にコンプレックスを持っているからです。

 

逆にニックは、作中でも徐々に明かされるように相手の内面を重視する性格です。

彼は言葉の裏に隠された感情を繊細に読み取ることができます。

詐欺師という職業も、その思慮深い能力を逆に活かした職業であるのが皮肉ですね。

 

ニックがジュディとの交流を通じて、性格が丸くなっているように思えますが、実は逆というのが裏設定。

ジュディのステータス重視の性格が、ニックとの交流を通じて解消されていくのが2人の性格の変遷なんです。

映画の表面上の描写ではなくて、裏に隠された描写までを読み取れるか、という視聴者への挑戦的メッセージなのかもしれませんね。

※もちろんジュディのおかげでニックは心を開いています

フラッシュの本当の性格

ナマケモノのフラッシュは物語ラストでスピード違反で逮捕されます。

フラッシュがスピード違反をした理由は、ナンバープレートに隠されています。

彼の車のナンバープレートに書かれた言葉は「FST NML」

これは「Fast Animal」の略で、直訳すると「素早い動物」という意味。

字幕版だと「スピード命」と訳されています。

つまり、彼は素早いことを自称しており、意図してスピードを出していたことになりますね。

 

フラッシュも自分がナマケモノというだけで遅いと思われるのが、実はコンプレックスだったのかもしれません。

実際、彼はナマケモノの中では仕事が早いとも言われていますから、速さにはこだわりを持っているのだと思います。

だからといって、スピード違反をするのは犯罪ですけどね^^;

 

ついでにご紹介すると、彼のマグカップには「YOU WANT IT WHEN」と書かれています。

直訳すると「それがいつ欲しいの?」であり、ここからも彼が時間=スピードに強いこだわりを持っていることがうかがえます。

ズートピアはこのような細かいネタが色々と隠されており、こういったものを見つけるのも1つの楽しみかもしれません。

ライオンハート市長のモデル

個人的にはライオンハート市長は、初の黒人大統領であるオバマ氏のメタファーなのではないかと考えています。

オバマの名台詞「Yes We can」も、ライオンハートの「何にでもなれる」と類似しているような気がしませんか。

ベルウェザーの名前

実はベルウェザーが黒幕であることは、彼女の名前から暗喩されていました。

bellwetherは英語で2つの意味を持ちます。

  1. 首輪付き羊
  2. 首謀者

つまり、彼女の名前は2つの意味を含んだ深いネーミングだったのです。

  1. ライオンハートに奴隷のように扱われる(首輪付きの)羊
  2. 事件の黒幕である首謀者

非常にセンスのある名前だと思います。

ズートピアは大人向け?

取り扱われるテーマは重いですが、大人向けという訳ではなく、子供が見ても楽しめる作品になっています。

キャラクターはかわいいですし、コメディシーンも子供にわかりやすいです。

ストーリー自体も、その土台にあるテーマを考慮しないのであれば、勧善懲悪のサクセスストーリーだと考えられます。

 

つまり、『ズートピア』は親子で楽しめる作品に仕上がっているという訳です。

ただし、キャラクターのセリフは皮肉や裏の意味を含むものが多く、そういった意味では他のディズニー映画に比べて大人向けですね。

まとめ

  • テーマは人種差別問題
  • 裏設定が多数ある
  • 大人向けではなく親子で楽しめる作品

以上、ズートピアのテーマや裏設定についてのまとめでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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