映画空飛ぶタイヤは実話?モデルとなった三菱自動車のリコール隠しの真相は?

『空飛ぶタイヤ』は池井戸潤原作の作品です。

池井戸潤といえば近年大ヒットをした「半沢直樹」シリーズが記憶に新しいですね。

小気味よく痛快な展開で好評を得た「半沢直樹」に対して、『空飛ぶタイヤ』は実話をもとにしたシリアスな作品となっており

同作品のファンが、明るい展開を期待して見るとビックリするかもしれません。

 

今回は、『空飛ぶタイヤ』のモデルとなった実話の事件について、深掘りしたいと思います。


空飛ぶタイヤの事件のモデル

物語冒頭の事故

物語冒頭の事故は2002年の「横浜母子3名死傷事故」がモデルです。

綾瀬市の運送会社が三菱ふそう製のトレーラーを運転していた際、突如タイヤが外れ、道を歩いていた親子3人に直撃、母親の方が亡くなりました。

この事故は作品タイトルの由来にもなっています。

 

当時は、三菱自動車工業は運送会社側の整備不足として、自社の非を認めませんでした。

それによって、責任を問われた運送業者は、世間の批判の対象となり

家に「人殺し」などといった罵言が書かれた張り紙や、無言電話がかかってくるなど、家族にも苦難が降りかかりました。

汚名を着せられた配送業者は最終的には廃業に追い込まれています

 

リコール隠しの真相

本作のテーマでもある「大手企業の不祥事もみ消し」事件は

2004年に起こった「三菱リコール隠し事件」がモデルとなっています。

 

リコールを簡単に説明しますと、購入した商品が不良品だった場合に、販売元に無料で修理をしてもらえる制度です。

欠陥品が市場に出回っているわけですから、事故でも起きたら大事になってしまいますよね?

そのため、一般的には販売元が自主的に欠陥品であったことを公表し、無料で改修作業に取り掛かる必要があります。

しかし、自社の品位が落ちることを危惧した三菱自動車はそれを隠蔽した、というわけです。

 

 

上記の「横浜母子3名死傷事故」に対して、三菱自動車のタイヤの不良品である疑いがかけられたものの

三菱自動車工業は運送会社側の整備不足として、自社の非を認めませんでした。

 

実に2002年~2004年の2年間、三菱自動車の不良品は隠蔽されており

被害者が続出したことで、ついにその真相が暴かれることになりました。

 

結局、有罪判決は降りたものの、三菱自動車は存命です。

世間は三菱自動車が持つ影響力を捨てきれなかったという訳ですね。

過去のリコール隠し

実は、三菱自動車は2000年にもリコール隠蔽事件を引き起こしています。

 

この事件でも、不良品の出荷によるリコールを社内で隠蔽しており

内部告発によって、その違法な行為が明るみにでました。

 

それに懲りず、本作で取り上げられたリコール隠し事件を再度起こしたというわけです。

こちらの方が自社の品位を落とす行為だと思いますね^^;

その他の事件

また、報告があった事件は「横浜母子3名死傷事故」だけではなく、おそろしい死亡事故がもう1件起きています。

 

「山口トラック運転手死亡事故」と呼ばれるこの事件では

ブレーキの不調によって男性が運転するトラックが建物に激突し、運転手の男性が死亡しました。

 

他にも、74万台以上のリコール隠しが発覚しており、その品質の悪さによる被害者は明らかになっていないだけでも多数います。

事件の背景

これだけ書くと、酷い事件であり

運送業者が可愛そうに思えてしまうかもしれません。

 

実際、三菱自動車が行ったことは許されざる行為ですが

みなさんは、事件が起こった時、名前も知らない運送業者と三菱自動車、どちらを信用しますか?

 

それが、この本で池井戸先生が伝えたかった集団心理の恐ろしさなのではないかと、個人的には思っています。

まとめ

  • モデルとなった事件は三菱自動車のリコール隠し事件
  • 実話の真相は作品よりも酷い

以上、『空飛ぶタイヤ』のモデルとなった事件についてのまとめでした。

非常にメッセージ性溢れる作品となっているので、是非原作も読んでみてください!

>>空飛ぶタイヤ赤松運送のモデルは?運送会社は廃業している?

最後までお読みいただき、ありがとうございました。




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。