『火垂るの墓』は戦時を生きる兄弟2人の儚い人生を描く、国民的な映画です。
死した清太の独白から始まる本作ですが、彼の死因はなんだったのでしょうか?
衰弱死・餓死とされていますが、ネットで調べてみると、自業自得・クズ・無能などという評価が!
果てには節子の死を招いた戦犯とまで言われています。
実際に、改めて映画を見てみると、過去にはかわいそうに思えた清太の欠点が何個も見えてきました。
今回は清太が本当にクズなのか?という疑問に迫りたいと思います。
清太がクズと言われる理由
学校にも仕事にも行かない
空襲で母を失った後、清太と節子は親戚のおばさんの家の居候となります。
はじめは、食料を提供した清太たちを快く迎えるおばさんですが、物語中盤から、嫌味をいったり2人にキツく当たるようになります。
おばさんの身勝手さが目立つシーンですが、実はおばさんの怒りの原因は清太の行動にあります。
居候をはじめてから、家でするまで清太が家の手伝いをするシーンは一切描かれません。
また、最初に提供した食料以外に、おばさんの家に対してお金や食料を渡しているシーンはありません。
つまり、おばさんにとって、2人はタダ飯喰らいなわけです。
清太と歳も離れていない自分の娘が頑張って労働に出ているだけに、ブラブラしている清太に怒りを覚えるのは仕方がないでしょう。
教育も雇用も受けない清太はまさにニートそのものです。
食い意地だけは張っている
清太と節子はタダ飯喰らいなだけではなく、食い意地まで張っています。
劇中、なにかにつけて食事内容に文句を言い、おかわりをするシーンがあります。
食べ盛りなことに加えて、父親が海軍エリートだった清太の家庭、裕福な暮らしをしていたのでしょう。
以前の食生活とのギャップに不満を持つのは理解できます。
しかし、問題は清太が何もしていないことです。
学校も行かず、働きにも出ないのに、食事だけは人一倍食べようとする姿勢は図々しいという他ありません。
そもそも家でゴロゴロ漫画を読んでいるだけなのに、お腹が減るんでしょうか…?
プライドが高い
先述の通り、父親がエリートで裕福な暮らしをしてきた清太は非常にプライドが高いです。
いくら働けと言われても働こうともしない癖に、文句だけは一丁前。
清太と節子が洞穴で暮らすことになったのも、もとを正せば清太のプライドの高さによるものです。
おばさんが追い出したように言われていますが、清太が己のプライドのために、自炊をはじめ、最終的には家を出る形となりました
(直接出て行けと言っていないだけで、塩対応をしたのは確かです)
家出をした後に、近所の人に謝って家に戻るようたしなめられるシーンがあります。
もちろん、清太はこれを無視。
作中、おばさんに清太が謝罪をしているシーンはありません。
自分たちにキツく当たるおばさんに頭を下げることが出来なかったのでしょう。
火垂るの墓の時期
子供の時は伯母さん憎たらしい!と思ったけど、大人になってから見ると舞台は戦時中だし子供だから何もしないのはあり得ないんだから「清太君、世話になるなら働こ?」って思ってしまう
世話になりたくないから二人で生活を始めたんだろうけど、そんなプライドはクズや!!— やまださん(39)@醜女豚 (@yamadavv) August 15, 2017
清太の死因
清太の死因は餓死、もしくは衰弱死と言われています。
しかし、母が残してくれた7000円、当時の時代背景を考えると大金だと言われています。
そんな大金をもちながら、なぜ彼は餓死をしてしまったのでしょうか。
それは、生きる気力を無くしていたからだと思います。
両親を失い、身寄りもない清太にとって、心の拠り所は節子だけでした。
プライドを捨て、盗みにまで手を出してまで、節子を生かすことに全力を注いでいました。
しかし、努力も虚しく皆さんご存知の通り節子は亡くなってしまいます。
自分のプライドにこだわり、2人で生きていくことを選んだことが、結果として妹の死を招いてしまった清太。
彼の最後に残ったほんの少しのプライドはズタズタになってしまいました。
結局自分は何も出来なかったことに気づき、絶望の中食べ物にも手を付けず、死を迎えたのだと考えています。
清太はクズなの?
確かにエピソードだけを抜き出せば、クズで無能と言われても仕方がないかもしれません。
しかし、自分が中学生の時に同じ立場で上手く立ち回れたかと問われると、答えにつまります。
それだけで死に至ってしまう当時の時代背景が残酷ですね。
ちなみに、作者の野坂昭如は自戒の意味も込めて小説を執筆したと発言しており、清太の青々しさは意図しての描写なのかもしれません。
https://twitter.com/cuffsgarden/status/797331795456864256
まとめ
- 清太は全く働こうとしなかった
- 学校もいかない正真正銘のニート
- プライドが高く文句だけは多い
以上、清太のクズ疑惑についてのまとめでした。
『火垂るの墓』を改めて見てみると全く違った印象を受けました。
これが、名作と言われる所以なのかもしれませんね。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!
その頃の金なんて全然価値が無いことを知らないのか?だからこそ食料を確保する活動に至らなかった清太はクズ
幼稚園や小学生の時に見たら叔母さんを酷く感じたけれど、大人になってみると、間違ったことは言ってないなと感じる。
それだけ、立場や年齢によって見方があることを考えさせられる映画なのが素晴らしいと思う。